日本能率協会で講師を務めておられる武田マネジメントシステムスの武田先生にお話をうかがいました。
(以下敬称略、役職当時)
顧客不満足というテーマとは?
武田
そうこうしているうちに10年ほどが過ぎ、ホンダのN360という車が欠陥車であるということで、創業者の本田宗一郎さんが大変心配し、役員・世界中の社員が心を一つにしてこの問題をクリアしなければならないと奮闘していらっしゃいました。
ハードルは高いけれど、この問題を解決しなければ会社の未来がないというわけです。
ホンダが会社の生き残りをかけて取り組みを始めたころに、私がサービスについて追求していたことをご存じの人から、ホンダの取り組みの中にサービスの概念を取り入れ、課題をクリアしようとお声掛けいただきました。
そこで、これは願ってもない好機と考え、会社を退職してそのプロジェクトチームに参加したのです。
危機管理の問題はサービスと背中合わせです。
私はプロジェクトチームで、今でいうクライシスマネジメントと接することができ、その中にサービスの概念を組み入れることに取り組みました。
その後、N360は欠陥車ではないとの認定がなされました。
それからまた少し月日が経った1987年ごろ、米国の本に「カスタマー・サティスファクション」という言葉がよく出てくるようになり、勉強を始めました。
その後、1991年に日本能率協会から「CS経営のすすめ」という本が出て、ヒットしました。
その際、読者の方々から日本能率協会へ「理論は分かったが、実務としてどうしたら良いのか」という問い合わせがたくさんあったそうです。
その問い合わせをきっかけに、私を選んでいただき、本を書くようお誘いいただきました。
さまざまなサポートをいただきながら、トヨタのCSの取り組みを取材しJMAのCS実務書「CS推進ここがポイント」でご紹介しました。そしてその後もCS・CSM(CSマネジメント)を研究しつつ、多くの成功事例を生むなど、いろいろな経験をさせていただきました。
少し話が前後しますが、1990年ごろにマーケティングをセオリー通りにいろいろな手法を使って進めても、なかなか答えがその通りにならないというジレンマを抱える企業が増えていました。
私はこれをクリアするためにどうしたらいいのか、取り組みを始めていた時期でもあったのです。
その結果、お客様の声を聞き、それに取り組むだけでは、成果が上がらないことが分かってきました。
そこで、お客様が潜在的に持ちながら、自分で感じていない不満があるからではないかという仮説を立てました。
それを解決するためには、お客様が自分で感じていない不満を見つけなければなりません。
それで取り組み始めたのが不満度調査で、企業もおもしろい課題だとして協力してくださいました。
それから『不満度調査』を同時進行したわけです。