福田講師インタビューその1「市場機会をみつけるためには?」

日本能率協会で講師を務めておられる縄文コミュニケーション株式会社 代表取締役 福田博講師からお話を伺いました。
(以下敬称略、役職当時)

市場機会をみつけるためには?

中川
本日は、福田先生から「新市場の創造発見のためのマーケティング基礎セミナー」のお話をうかがいたいと思います。
セミナーを企画するに当たり、どのような課題感や背景からスタートしたのでしょうか。

福田
背景は2つあります。

1つは、日本の経済が、1990年代に入ると、新しい商品も生み出せずに、非常に停滞し始めたことです。もう1つは、企業の担当者が、人口が減っているとか、成熟化しているとか、成長できない言い訳を多く言うようになったことです。

でもその理由をいろいろ聞いていくうちに、担当者の方は前向きなんですが、リスクを許容する企業文化が、どんどん少なくなっている感じがしました。

それと、残念ながら、成長軌道に乗せるための具体的なプログラムを、意外と、持っていないということが分かりました。恐らくこれは、チャレンジできないことによる経験知の少なさからくるものと思います。

日本の人口は、現在でも1億2,600万人いるわけで、これは他の国と比べてとても大きく、魅力的なマーケットですよね。その魅力的な市場を狙って、アジア勢を始め、多くの外資系企業が日本市場に進出しております。

やり方によって、まだまだ日本の市場はいくらでも開拓の余地があると思います。

中川
新しい市場機会を発見する、また新しい市場を創るというのは、どの様な視点で考えたらよいのでしょうか。

福田
これは皆さんも共通の課題としてお持ちなのでしょうけれど、過去の延長線上や既存の枠組みの中で考えても、新しい市場機会はなかなか見つかりません。

市場環境が大きく変わり、生活者や顧客企業も変わっているんですから、お客さんの変化を先取りして、視点を変えるとか、発想を変えるとか、自社の定義も変えるとかしなくてはいけません。

特に、自社の定義ですが、うちは何々業だと規定していることが、これからの市場環境に、果たして合うのかどうかを見直してみてはどうでしょうか。

例えば、印刷屋さんが、「うちは印刷業だ」と言っているのと、「情報産業だ」と言っているのでは、自分たちが取り組む姿勢や領域が、全く変わってきますよね。

これからは、自社が何を目指そうとしているのか、これからお客さんにどの様な価値を提供していくのか、を社員1人1人が考えていく必要があります。
それと、新しい市場を創らなくてはという切迫感はあるのですが、経営層も現場の方も、意外と、ビジネスチャンスを取り逃しているというケースが多いのですよ。

中川 
具体的には、どの様なことですか。

福田
失敗には2つのパターンがあります。

ひとつは、ミスを犯す失敗で、もうひとつは、チャンスを見逃すことです。チャンスを見逃すことも失敗なんですよ。

日本の企業社会は減点主義ですから、ドジを踏んだときには、その人の評価が下がるという仕組みになっています。ところが日本の企業は、チャンスを見逃すことに対して、誰も失敗の責任を問われない。

そうじゃなくて、機会を見逃すということも失敗だということを、マネジメント層も含めて、全社共通の認識として持ってもらいたいと思いますね。

中川
顧客の変化については、如何ですか。

福田
新しい市場を見出そうと言うとき時には、なんと言ってもお客さんを徹底的に理解することが第一です。そして、顧客情報や市場環境の変化などについては、社内情報だけに頼るのではなくて、外部の異業種や異業界の人の知見も重要です。

それと大切な視点ですが、未来の市場機会は、実は、「もう既にある」という認識を持ってもらいたいと思います。ただ、その徴候に、我々が気がついていないだけなんですよ。そして必要なのは、お客さんよりも、競合他社よりも先に気がつくことです。早すぎてもダメですし、遅すぎたら最悪です。

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