日本能率協会で講師を務めておられる縄文コミュニケーション株式会社 代表取締役 福田博講師からお話を伺いました。
(以下敬称略、役職当時)
広告効果を検証する
中川
経費の削減が厳しくなる中、担当者には、よりシビアなコミュニケーションの費用対効果が求められますが、どの様に検証するんでしょうか。
福田
マスコミュニケーションの時代は、広告効果を検証することは、非常に難しかったのですが、デジタル・コミュニケーションの時代になると、コミュニケーション効果を把握しやすくなりました。
例えば、ネット通販では、どの様なクリエイティブで、どのメディアで、どのくらいの出稿量だと、どのくらいの入電数やアクセス数、そして購入数が得られるのかという効果測定は、かなり把握しやすくなっています。
問題は、食品や消費財などのマス広告が多いコミュニケーションです。
この場合は、商品力や価格、流通の配荷力、そして今までのブランド資産などの売上寄与要因をキチンと把握することからスタートする必要があります。それと社内の協力体制や競合状況などでも、大きく変わります。なので全体を俯瞰して、コミュニケーション計画を考え、効果測定を見るべきですね。
但し、売上影響要因が多すぎると、煩雑になりすぎて、本質を見誤るので、その場合は、例えば、「商品力×配荷力×コミュニケーション力(クリエイティブ力とメディア力)の3つの要因で把握する」というやり方もあります。
中川
広告効果測定の方法は、いろいろあるようですが、とにかく少ない費用でコミュニケーションの最大効果を出したいですよね。
福田
おっしゃるとおりです。クライアントさんにとっても、コミュニケーション予算は、益々、シビアになると思います。その中で最大効果を出すメディア計画を立てるとなると、マーケティング計画自体を、キチンと精緻化することが大切になってきます。
というのは、いろいろな事例を観ていると、社内都合や狙いが絞り切れていないコンセプトを前提にして、ブランドコミュニケーションを組み立てているケースが、すごく多い気がします。
やはり真の課題をあぶり出して、その目的や課題を効率的に解決するブランド・コミュニケーションを組み立てなくてはなりません。
なので、例えば、誰をターゲットにするのか。これは大きな問題ですよね。よくあるのは、売りを狙うあまり、八方美人型でコミュニケーションを行なった場合、当然、コンテンツも角を削りまくるので、皆に無視されます。
ターゲットは、絞り込むことが重要です。
そしてそのターゲットにどの様なメッセージを伝えたいのか。その最適なメディアは何なのか、そしてどの様な反応を期待するのか、この一連の組立てを最適化することが求められるんですね。
効果検証項目は、認知率や購入意向率、トライアル率、リピート率と、いろいろありますが、重要なのは、自社独自の効果測定モデルを創りあげることです。