高橋講師インタビューその1「「欲しいもの」が見つからない時代への対処法とは?」

日本能率協会で講師を務めておられる株式会社MOMO 代表取締役 高橋澄子講師からお話を伺いました。
(以下敬称略、役職当時)

「欲しいもの」が見つからない時代への対処法とは?

現在の消費者の特徴とは何でしょうか?

(高橋)
商品の開発においても販売においても、消費者の心や気持ちを理解することが重要です。お客様の「欲しい」「買いたい」という気持ちを理解するということですね。マーケティング用語で言うと「ニーズ」になりますが、今は「ニーズ」がはっきりと表に出てこなくなってきたことが特徴だと思います。

「ニーズ」がわかりにくくなったということですね。

(高橋)
そうです。例えば、セミナーにご参加いただいた方々に「今、何か欲しい物がありますか?」と聞いてみると、ほとんどの方が「欲しい物は特に無い」と答えます。自分で意識できるような「ニーズ」が見当たらない、はっきりしなくなったと感じます。

それは、なぜでしょうか?

(高橋)
理由の一つとして、商品やサービスが数多く出回っていて、それに関する情報も多すぎて、ひとつひとつの商品やサービスを時間をかけて十分吟味できずにいるということが考えられます。一人の人間が 処理できる情報の量には限界があると言われています。ところが現在、私たちは 大量の商品やサービスに囲まれて生活しているわけです。

すると、触れた一瞬は新鮮だけど、次の瞬間には他の商品やサービスに出会ってしまう。少しの間は興味を持つけど、興味は長続きしない。常にオーバーフローな状態。そんな状態でみんなが暮らしているのではないかと思います。

一人の人間が処理できる情報量を超えているということですね。

(高橋)
もともと人間は「慣れると飽きる」と言われていて「新しいもの」が好きなんですよ。だから、つぎつぎと押し寄せる商品やサービスにどんどん目移りしていく。
一瞬「欲しい」と思っても気持ちが移っていくので、その先の購入にたどり着くのが難しくなっていると思います。もっと「楽しくなる」「暮らしを幸せにする」商品があるのに、時間をかけて向き合えなくなっている。

消費者インタビューでお客様を調査すると、「欲しいもの」はないのに「幸福度」は高まっていなくて、逆に減退しているという結果がでることさえあります。商品やサービスは、消費者の不満を解消し幸せに暮らすためのお手伝いをするはずが、情報が多いせいで逆に、自分にとって「その商品が本当に良いモノなのか、必要なのか」確信が持てなくなっている印象を受けます。

矛盾を抱えていますね。

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